iDeCoの二大証券会社といえば、楽天証券とSBI証券ですね。
今回、そのSBI証券でのiDeCoについてニュースが入ってきました。それはSBI証券でiDeCoに加入する場合の最大のネック、出口の狭さが改善されたこと。具体的には受給時に併給を選べるようになりました。
では、これは具体的にはどんなメリットをもたらす改善なのでしょうか。今回はそこを詳しく解説します。
iDeCoの受給方法
まずはiDeCoの受給について簡単に解説しましょう。
iDeCoは60歳まで積み立て可能な個人型確定拠出年金です。基本的には60歳になった時点で受給が可能になります。(積み立て期間が10年に満たない場合は、10年間積み立ててからの受給となります。)
このとき受給を開始するかしないか、そして運用を続けるかどうか選ぶこととなり、運用を続ける場合は70歳まで可能です。
しかしいずれにせよ、受け取る場合は「一時金」として一括で受け取るか、「年金」として分割で受け取るか。そして「併給」つまりその両方で受け取るかの三択となります。
SBI証券のiDeCo、改善したこと・していないこと
これまでSBI証券でiDeCoをやるとなると、この受給方法が「一時金」か「年金」のどちらかに限られていました。これが「併給」も可能になったというのが今回のニュースですね。
ただし年金受取の期間は、5年か10年のどちらかしか選べないことに変わりありません。一部を分割受給するにせよ、その分割分は5年あるいは10年かけて受給するしかないということです。
これが楽天証券の場合、5〜20年の間であればどの期間でも選べます。しかも受給頻度は年に1回〜12回まで、6段階から選べる柔軟さがあります。
SBI証券の場合は年に1回、2回、4回、6回の4段階。やはり出口の広さは楽天証券ほど柔軟でないことは確かです。
しかしこれが、本当に引っかかるほどの障害になるかというとそうとも言えません。
具体的にどう受給するか考えてみよう
まず始めに、iDeCoはその受給をする毎に440円(税込)の手数料がかかります。
受給の度に手数料が取られるのですから、一時金としての一括受給が優位ですね。何らかの事情により年金受取を一部に使ったとしても、回数は少ない方が良いわけですから5年受給で年一回となるでしょう。
退職金控除からはみ出た分は65歳までに年金受取するべし
何らかの事情として一般的なのは、退職金控除からはみ出るからという理由です。
iDeCoの給付金は、所得税・住民税の対象です。これらの税金がかからないよう退職金控除と年金控除(正確には「公的年金等控除」)のいずれかを使うわけですが、退職金控除は大変優遇された制度のためまずはこちらを使うことになります。
しかし退職金控除が認められる金額にはもちろん上限があります。会社員の場合は元から退職金があるわけですから、iDeCoの給付金を上乗せするとはみ出ることが少なくありません。
こうした場合には、はみ出た分を年金受取にして年金控除を使います。SBI証券では今までこのような併給ができなかったために、iDeCoの金融機関として全くおすすめできませんでした。
しかしやはり年金控除にも上限があります。そのため老齢年金の受給が始まる65歳までに、5年に分割して受け取るやり方がおすすめです。
70歳まで運用するなら75歳で一括受給すべし
もし70歳まで一切受給をせずに運用のみをしていた場合、60歳で退職金控除を使ってしまうとiDeCoの給付金には70歳時点で退職金控除が使えません(枠が余っていればその分だけは使えます)。
一度退職金控除を使うと、iDeCoの給付金が再度退職金控除の対象となるまでに15年の間を置かなくてはなりません。(通常の退職金なら退職金控除の枠が5年で復活するところ、iDeCoは確定拠出年金のため+10年が必要です。)
ですからこの場合、75歳までの5年間は年金受取にして、75歳で残りを一括受給します。退職金控除からはみ出る分の給付金を計算して5年間で受け取るようにするわけですね。
この場合も、年金受取を使ってもやはり5年間です。SBI証券の限定された受給方法でも十分と言うことができます。
ちなみに65歳で退職金が初めて発生するのであれば、iDeCoの給付金は60歳で一括受給してしまえばどちらも退職金控除の対象となります。通常の退職金なら前回退職金控除を使ってから5年経っていれば良いわけです。
結論、iDeCoを始める証券会社のおすすめは
ただし、ここまでの想定は今の制度で考えられる範囲内です。もし今後定年が延びた場合などは改めて出口戦略を考える必要が出てくるかもしれません。そこを踏まえた上で、SBI証券のiDeCo加入を検討しましょう。
楽天証券のiDeCoはハッピープログラムの対象になるため拠出毎にポイントがつきます。ラインナップはいずれも甲乙つけがたい二社ですので、今のところ私はやはり楽天証券の方がおすすめです。
しかしSBI証券のiDeCoの魅力は、人気のeMaxis Slimシリーズがどこよりも揃っていること。今までは併給不可という一点でどうしてもおすすめできませんでしたが、今後はeMaxis SlimシリーズをiDeCoで買いたいのならSBI証券のiDeCoがおすすめです。
楽天VTや楽天VTI、セゾン投信のファンドが買いたい人は楽天証券にしましょう。
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iDeCoで何を買うか迷っているならこちらの記事がおすすめです。後編として集中/アクティブ型も紹介しています。
先ほど楽天証券のハッピープログラムの話を出しました。知らない人にはさっぱりですね。
以下の記事では楽天証券のポイント制度など特典を整理しています。これからiDeCo、あるいはつみたてNISAを始めるなら参考になること請け合いです。
iDeCoの手数料についてはこちらの記事で詳しくまとめています。おトクに運用するためにできることは考えておきたいですね。
参考・参照:
個人型確定拠出年金ナビ(iDeCoナビ)~イデコ加入ガイド~
2016年10月株式会社SBI証券SBI証券個人型年金プランに関する説明書
【iDeCo】老齢給付金または障害給付金を年金で受け取る場合の年間支給回数は何回ですか?|よくある質問|楽天証券
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