正しい理解で準備が変わる「老後資金2,000万円不足問題」

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どーもー、永積キクコです。

今回は、今年話題になった老後資金2,000万円不足問題を取り上げます。

老後は普通に生活するだけで2,000万円も不足するって本当?そんなに貯められないよ!

そうですよね。このニュースで老後資金が不安になった人も多いと思います

しかしこの問題は早めにきちんと考えることで、できる準備が変わります。今回はこの年金不足問題をわかりやすく掘り下げ、どのように対処するべきか解説していきましょう。

年金はこれからどうなるの?

まずは現状把握から。

これから日本の年金は、物価スライド制からマクロ経済スライド制に変わり、目減りしていくことが既に決まっているようなものです。

物価スライド制というのは、ざっくり言うと「国内の物価に合わせて支給する年金の額も上下させるよ」ってしくみのことです。

これに対してマクロ経済スライド制は「物価だけで決めずに人口とか国の経済状況いろいろ加味して支給額決めるよ」というしくみ。人口や国の財政状況が今後急激に改善するということはないので、いずれ年金は相当に目減りすると考えて良いでしょう。

しかし、それは具体的にはいつからなのでしょうか。

現在老後を迎えている団塊の世代は人口がいちばん多いにも関わらず、まだ何とかなっている印象がありますね。一体これは何故なのでしょうか。ちょっと日本の人口分布を見てみましょう。

下の図は、2015年現在の日本の人口ピラミッドです。

資料:「平成27年(2015年)国勢調査(抽出速報集計)」(総務省統計局)

団塊世代、いわゆる第一次ベビーブームにあたる70歳手前がボリュームゾーンになっていますね。

次に、そのひと世代下にも広がりがあるのが目に付きます。これは団塊世代の子ども世代。いわゆる団塊ジュニア世代です。

実はこの団塊ジュニア世代がいるからこそ、まだ今は団塊世代を含む高齢者を支えることがどうにか出来ているわけです。

しかし団塊ジュニアのジュニア世代は存在しません。氷河期世代とちょうど重なっているために、結婚して子どもを設けること自体が困難になってきた世代だからでしょう。

つまり、団塊ジュニア世代(私もです)以降は特に老後資金について考える必要があると言えます。

厚生労働省が発表している人口動態統計の速報値では、2019年1〜7月の出生数は前年同期比5.9%減、30年ぶりの減少ペースとなるとのこと。*1

これは団塊ジュニア世代の出産適齢期が終わったことが背景にあると推測され、出生率は今後さらに下がると考えられます。

しかしだからといって、年金を払わないのは反対です。国民年金は、期間の縛りなく死ぬまで支給してくれる制度。現役世代でも不慮の事故などで働けなくなったとき、障害年金を生涯受け取ることだってできます。

こんな制度は民間にはまず存在しません。まず採算がとれないからです。また、年金を払わないと後述するiDeCoも加入できません。

報告書の内容と根拠をわかりやすく教えて!

そんなわけで、年金を払いつつつも老後資金の準備を考えた方が良いのは間違いのないところ。しかし話題になった報告書には、少し問題があるようです。

というのも、老後のモデルケースとしてかなりゆとりある生活をしていると思われる家庭を想定しているからです。

具体的には以下の図のようになっています。

資料:金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書 「高齢社会における資産形成・管理」 (金融庁)

およそ月21万円の年金のところ、26万円の支出をしている家庭がモデルです。食料に6万4千円、その他の消費に5万4千円など、かなり余裕のある暮らしが想定されていますね。

どうやってこのような家庭がモデルケースに選ばれたのか。

これは総務省の出している「家計調査」データを根拠にしたものです。実は報告書にはこのデータと共に「あくまで平均」「不足額の総額は単純計算で1,300万円~2,000万円」との記述もありました。

この中の「2,000万円」だけが一人歩きしてしまった。これがこの年金2000万円不足騒動の本当のところです。

報告書にあるように、データはあくまで平均値であって中央値ではありません。貧富の差が広がっている現状から、一部のお金持ちが平均値を引き上げていると考えた方が正確でしょう。

つまり、多くの人の老後に月26万円かかるわけではなく、多くの人が2,000万円不足するというわけでもありません。その意味ではミスリードの報告書だったと言えます。

とはいえこの部分だけをつつくのは、少し金融庁がかわいそうかもしれないですね。データはあくまで総務省のものです。そしてこの報告書の主眼は高齢社会の資産づくりへの提言であり、上記データは前置きの一つでしかありませんでした。

前置きは他に以下のような視点も挙げています。

  • 平均寿命が伸びており、現在60歳の人の1/4が95歳まで生きるという試算のあること
  • 老後の親の面倒を子どもが見るといった従来モデルが空洞化してきていること

これはもっともな指摘だと思います。今まで言われてきた少子高齢化社会の課題を改めて整理した形に見えますね。

中身の提言に関しても現役世代からの「長期」「積立」「分散」投資を少額からでも勧めるもので、むしろ今後の日本に必要な方向性を示すものではないでしょうか。

私たちはどうすれば良いの?

現役世代も、早いうちから老後資金の準備を考えた方が良いことは間違いありません。とはいえやはり「貯めて」準備するのは現実的ではないですね。

金融庁が提言するように、これからの日本では現役世代のうちに老後資金を「貯める」から「つくる」意識を持つ必要があるでしょう。

欧米、特にアメリカにおいては老後資金を積立投資で準備するのは一般的です。しかし日本人は先進国の中でも投資をする人が非常に少なく、実は金融リテラシーによって貧富の差が広がっている現実があります。

この傾向は近年広がっているとも言われます。野村総研は2015年に日本の「富裕層」、「超富裕層」が過去最多になったこと、2017年にはさらに増加したことを伝えています。

この要因について引用します。

全国的な世帯数増加を反映して全階層で世帯数は増加していますが、2013年以降の景気拡大と株価上昇により、純金融資産が5,000万円以上1億円未満であった「準富裕層」と1億円以上5億円未満であった富裕層の多くが資産を増やし、それぞれ富裕層・超富裕層に移行する傾向が継続したことが要因と見られます。

(中略)

富裕層および超富裕層の保有する純金融資産額の増加は、景気拡大と株価上昇によって富裕層および超富裕層の保有資産が拡大したことに加え、金融資産を運用(投資)している準富裕層の一部が富裕層に移行したためと考えられます。

野村総合研究所、日本の富裕層は127万世帯、純金融資産総額は299兆円と推計~ いずれも前回推計(2015年)から増加、今後、富裕層の次世代である「親リッチ」獲得競争が活発化 ~ | ニュースリリース | 野村総合研究所(NRI)

つまり「準富裕層」以上の世帯は、投資によってその資産を増やし続けていると考えられるのです。

また同記事中で親が富裕層・超富裕層とみられる層の人たちは金融情報感度・金利感応度がいずれも高く、所謂金融リテラシーが高い傾向にあることを示しています。これが、貧富の差をさらに生んでいると考えられるわけですね。

野村総合研究所、日本の富裕層は127万世帯、純金融資産総額は299兆円と推計~ いずれも前回推計(2015年)から増加、今後、富裕層の次世代である「親リッチ」獲得競争が活発化 ~ | ニュースリリース | 野村総合研究所(NRI)
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庶民はつい「よくわからない世界だから手を出さないでおこう」「毎日忙しくてそれどころじゃないしなぁ」そんな感じで投資を敬遠しがちですよね(私もそうでした)。

しかし、私たちが毎月支払っている国民年金だって資金運用をしています。

国民年金は資金規模が莫大なため、市場を歪めないよう気を遣いながら運用しなければなりません。そこへいくと個人は何にでも投資できる。個人で運用した方が、良い成績を収める可能性は実はけっこう高いんです。

そうは言っても、投資って難しいんじゃない?

いえいえ、「長期」「積立」「分散」投資ならば放っておく方が成功しやすいくらいなんですよ。

金融庁の作った制度、iDeCo(個人向け確定拠出年金)とつみたてNISA(「少額投資非課税制度」のつみたて用)はとてもおトクな上に失敗しにくい制度です。しかし投資が初めての人は何が何だかわからないことばかりですよね。

当ブログではこの二大制度を中心に、「超」初心者が老後資金をつくるためのロードマップを作りましたのでぜひ参考にしてください。誰もが自分の頭で「何をどれだけ買うべきか」わかることを目指したものです。

未来はそんなに暗くない!

老後資金の不足問題は、早めに取り組むこと、そして金融リテラシーを高めることで対処することができます。

特に考えるべきなのは団塊ジュニア以降の世代ですから、今から取り組めば未来はそんなに暗くはないはずです。

どうかこれからの時代を生き抜くために、学んで行動してください。このブログがあなたのその助けに少しでもなりますように。

 

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