ポートフォリオを決めるための基礎知識

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ゼロからの老後資金づくりの始め方
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前回でアセットアロケーションはなんとなく決まりましたか?次は何をどう買うか、ポートフォリオを考えます。

商品を選ぶ基準から解説しますので、ちょっと難しい部分もあるかもしれません。「難しいこと考えたくないよ!」と思った人は最初と最後の章だけ読んでください。

何をどう買う?面倒なリバランスとは

iDeCoやつみたてNISAの範囲内で投資するなら、金融商品はそれぞれ一つずつで十分だと思います。どちらも同じファンドでも良いとすら思います。

選べる商品の中に、十分効果的な分散投資のできるファンドがいくつもあるからです。そして、資産はシンプルな方が間違いなく管理しやすいです。

金融商品が一つだけだと、リバランスをする必要が一切ありません。

リバランスとは、割合の崩れたポートフォリオを元の割合に戻す作業のこと。ある株式と債券を50万ずつ買ったとして、利回りがそれぞれ10%、1%だったとしたら一年後には55万と50.5万になり割合が崩れますよね。この割合を元に戻す作業がリバランスです。

え、買った後にメンテナンスがいるの?面倒くさいな

そう感じるなら分散投資できる商品一つだけでも良いと思いますよ

リバランスは半年に一回、あるいは一年に一回はやると良いと言われています(プロはまた別のようですが)。

リバランスのタイミング

いろいろな意見があり正解があるわけではありません。「史上最高値を更新」「大きな下落が続き…」などニュースで聞こえてきたらやると良い、という人。5%ズレが生じたら、など目安を決めている人もいます。

もしリバランスをしなかった場合、リスク資産の割合が大きく増えてしまうなんてことはありがちなパターンです。すると狙ったようにリスクを軽減できず、大幅な値下がりが起こったときに予想外に資産が減ってしまうかもしれません。

定期的にリバランスをすれば、そのとき値上がりしている商品を売ることができ、値下がりしている商品を買える。リスクだけでなく利益の面でも効率的です。(つみたてNISAは基本的には買い増しでリバランスします。)

ただ自分でやるとなると手間のかかる作業ではあります。それにプロがリバランスのタイミングまで考えてやってくれるのならその方が利回りも良さそうだ、と考える人もいるでしょう。

何よりも、一度買ったら放っておきたい人にとってはありがたいですね。

プロがやってくれるならもちろんお任せしたいよ。

そう思う人はこれから解説する知識はほとんど要らないかもしれません。次章のコストの話まで読んだら最後の章にとんでください

リバランスもどうにかやるから理想の比率で買いたいな。

そういう人はインデックスファンドを組み合わせましょう。選ぶための知識や視点を解説します

iDeCoとつみたてNISAの枠を超えた投資を考えている人は、どれをどの枠で運用するのかも決める必要があります。

基本的には期待リターンの高いものほど非課税枠を使った方が良いでしょう。iDeCoとつみたてNISAの両方をやるという人は、控除に頭を悩まされないつみたてNISAに優先的に期待リターンの高い商品を当てましょう。ただしスイッチングができないことには注意が必要です。

しかし非課税枠で選べる商品は限られています。ほしい商品が非課税枠で買えなかったとき、諦める必要まではないと思います。

ファンド(投資信託)を選ぶポイント

ファンドを選ぶポイントとして、以下三つの視点でまとめてみました。

  • コスト:信託報酬、実質コスト、信託財産留保額、販売手数料、分配金を再投資に自動的に回してくれるか
  • ファンドのリスク:流入額・純資産額(償還リスク)、運用会社の信用
  • リターンの効率:ベンチマークとその乖離(トラッキングエラー)、騰落率、シャープレシオ

コストの販売手数料分配金を再投資に自動的に回してくれるかについてはiDeCoとつみたてNISAのラインナップで考える必要はありません。どちらの商品も販売手数料ゼロ、分配金は再投資のものが選出されているからです。

ちなみに運用期間が決まっているファンドというのも存在しますが、iDeCoとつみたてNISAで買えるものは基本的に無期限ですのでこれも考える必要はありません。

コスト

ではまずコストから。iDeCoとつみたてNISAでは、運用コストとファンドを売却するときのコスト(信託財産留保額)を考える必要があります。

運用コスト

運用における実質コストを比べることができれば一番良いですが、これは決算が終わってみないとわからない値です。(とはいえ運用期間がそこそこのファンドなら推測はできます。)

とりあえずは信託報酬の安いものを選びましょう。信託報酬とは運用をお任せするための費用だと思ってください。商品を保持しているだけで毎年かかる運用コストは基本的に安いほど良いです。

信託報酬と運用成績には、相関関係はほとんどありません。これはアクティブファンドがインデックスファンドの成績を上回ることが難しいのと同じです。特にベンチマーク(後述します)が同じインデックスファンドの成績を比べても大体は誤差の範囲。気になる人は後述の「リターンの効率」を読んでください。

でも信託報酬の差って、0.3%とか0.5%とかでしょ。そんな数値を気にするの?

0.1%であっても節約できれば、それだけ元本割れが起きにくくなり複利効果も高まると考えてみてください

例えばつみたてNISA満額なら800万円。この残高なら、実質コスト0.5%でも4万円を取られてしまいます。初年度は40万なので4,000円ですが、毎年0.5%取られるとしたら20年でいったいいくらになるでしょうか。

信託報酬は私たちの積立金から取られますから、毎年の複利の効果もそれだけ落ちてしまいます。特に掛け金に上限のあるiDeCoとつみたてNISAは、積立金を少しでも確保するためにコストには敏感であるべきです。

つみたてNISAにおいて、ポイントが1%も還元される楽天証券をおすすめするのはここにも理由があります。1%も利益が確定しているのなら元本割れする可能性がそれだけ低くなると言えます。

信託財産留保額

信託財産留保額は、そのファンドを売るときにかかるコストです。ファンドの一部が売られるということは、運用側でけっこういろんな手続きをしないとなりません。そのためのコストを売る側の人に負担してもらおうということです。

信託財産留保額がかからないファンドは一見おトクに見えます。しかしその場合誰かの売りの度にそのためのコストがファンドの資産から減るわけですから、おトクかどうかは誰にもわかりません。

長期の積み立てということなら、もしかしたら信託財産留保額があった方が無闇に売られなくて済み、自分も売らなくて済む部分があるやもしれません。ただ0.2%以上これでとられるファンドはさすがに高いなぁと思いますけどね。

ファンドのリスク

次にそのファンド特有のリスクを考えます。

償還リスク

まずはそのファンドへの流入額純資産額を調べましょう。

できたばかりでもないのにファンドの純資産額が低い場合、あるいは流入額が落ち続けている場合などは、そのファンドが繰上げ償還になるリスクがあります。

繰上げ償還とは?

「もうこのファンドやーめたっ!運用を打ち切ります」とお金を返されることです。タイミングを選べない一括売却となるためリスクが非常に大きいです。

実は信託報酬が安すぎるとこのリスクを後押しすることもあります。ファンドの運用が利益につながらなければ、運用会社も続けていられないですからね。

しかしそうは言ってもつみたてNISAのラインナップは純資産額50億以上のものと決められています。iDeCoも年金制度として設計されていますから、そう簡単に償還されることはないはずです。

運用会社の信用

運用会社の信用、これは人によって評価が分かれるところです。後で紹介する世界経済インデックスファンドとセゾンVGBF、楽天・インデックス・バランス・ファンド(均等型)は似たり寄ったりの商品ですが、それぞれ運用会社が三井住友トラストアセット、セゾン投信、楽天投信投資顧問です。

三井住友がやっぱり一番信用がおけるよな、と思う人、セゾン投信の中野社長の投資哲学についていくぜ!と思う人、楽天の成長を見たらむしろ三菱より買いじゃん、と思う人色々いるでしょう。反対に、この会社って大丈夫なのかな、と思う人もいる。そういう話です。

リターンの効率

最後はリターンの効率です。

そのファンドがどれくらい、取ったリスクの割に合っているかを見ます。これはちょっと上級かなと思うので、騰落率シャープレシオは簡単に説明します。インデックスファンドだけを買うなら知らなくてもかまわないと思います。

騰落率とは、ざっくり言うとそのファンドの価値(基準価額)がどれだけ上下しているかを表します。上がっていればプラス、下がればマイナスの数になるのでもちろん数値が高い方が良いです。基準価額(価格ではない)とは、純資産総額を総口数で割って求める一口あたりの値段のこと。

シャープレシオとは、これもざっくり言うとリスク(値動きの激しさ)あたりのリターンの効率を出すものです。同じリターンを出していても値動きが緩やかなファンドの方が、少ないリスクでリターンを出しているということ。

めっちゃ下がった日が数日あったけどすぐ戻ったから気にしないで、と言われても気になりますよね。それを数字で見えるようにしています。リスクに対してどれだけリターンを得ているかということなので、こちらも高い数値の方が望ましいです。

いろんな計算をしてファンドを評価するんだね

騰落率とシャープレシオは、ファンドを紹介している投資ブロガーさんで計算してくれている人が割にいます。興味があればファンド毎に調べてみてください。

「ベンチマーク」「トラッキングエラー」も中級くらいな気はしますが、そのファンドの方針を表す重要な要素でもありますので次章で詳しく解説します。

ベンチマークとトラッキングエラー

インデックスファンドには必ず指標があります。そのファンドと連動させている指標・値動きのことをベンチマークと言います。

つまりベンチマークとは、インデックスファンドと連動するインデックスのことです。

それって「インデックス」でいいんじゃないの?

「ベンチマーク」という言葉はアクティブファンドにも使用しますし、実は投資の世界以外にも使われている言葉・概念なんです

ここではつみたてNISAやiDeCoのラインナップでよく使われているベンチマークを紹介します。

代表的なベンチマーク
  • 日本なら:TOPIX(東証株価指数)、日経平均株価
  • 米国なら:ダウ平均株価(ダウ・ジョーンズ工業株価平均)、S&P500、CRSP USトータル・マーケット・インデックス
  • 国際的には:MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス、FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス

各ベンチマークの特徴

では一つずつ特徴を見ていきましょう。

日本のベンチマーク

TOPIX(東証株価指数)と日経平均株価は日本人にはお馴染みですね。TOPIXが東京証券取引所(東証)の市場第一部に上場している全銘柄を対象とするのに対し、日経平均株価は日経新聞が選んだ225社で構成されています。分散を考えるとTOPIXの方が長期投資には向いていると言えます。

東証の市場第一部というのは、よく聞く「東証一部上場」の東証一部です。いわゆる大企業だけが上場(ここで取り扱う対象にしますよ、と認められること)していると考えてかまいません。

日本市場の成長を考えると、株式市場の長期相場でもプラスサムにならない可能性が高いように思います。個人的な意見ですけれど

米国のベンチマーク

ダウ平均株価は算出方法が日経平均に似ていますが、対象はたった30種。入れ替え頻度が高いため、これをベンチマークにするとアクティブファンドに近い値動きになります。

S&P500は米国大型株500銘柄から構成される指数で、米国株式市場の上位約80%をカバーしているのが特徴です。投資の神様と謳われるウォーレンバフェットが妻への遺言書に「財産の9割をS&P500のインデックスファンドに入れるように」と書いたことは有名で、米国株への分散投資ではこれをベンチマークにしたものが非常に人気です。

CRSP USトータル・マーケット・インデックスはさらに投資幅を広げ、米国株式市場の上位98%以上をカバーします。今のところiDeCoとつみたてNISAでこれをベンチマークにしているファンドは楽天VTIのみです。後日詳しく紹介します。

国際的なベンチマーク

MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスGDP比を元に出される世界株式指数で、世界の株式市場の約85%をカバーしています。

これに対し、FTSEグローバル・オールキャップ・インデックスは時価総額比(正確には時価総額加重均等型)の世界株式指数。そして世界の株式市場の、時価総額約98%をカバーしています。中小型株も重視している傾向ですね。

一口に全世界に投資できると言っても、分散率や構成比がベンチマークによって違うんだね

MSCI系は地域分散型ファンドのベンチマークとしても、とてもメジャーな存在です。FTSE系は非常に人気の高いバンガード社がベンチマークとして採用していることで有名で、どちらも存在感のある指数です。

新興国と日本を除いたMSCIコクサイ・インデックスというのもよく見かけます。というか日本ではオール・カントリー・ワールド・インデックスよりこちらの方がメジャーです。

先進国と新興国の基準も少し違っていて、目立つ違いは韓国の扱いです。MSCI系が新興国としているところをFTSE系は先進国に分類しています。

iDeCoやつみたてNISAで複数の国に分散投資するファンドは、バンガード社を除くとMSCI系をベンチマークとするものが非常に多い印象です。

トラッキングエラー(乖離率)

このように世界の成長に合わせてリバランスしてくれる便利なファンドがありますので、先進国株のファンド、新興国のファンド、などとバラで買うのはあまりおすすめできません。せっかくどこか一国の事情に関わらず自動的に割合調整してくれるファンドがあるんですから。

GDP比とか時価総額比とか、自分ではとても調整できないもんね

しかししばしばベンチマークとの乖離(離れてしまうこと)が起こります。それがトラッキングエラーです。

いつも上方に乖離してくれるなら良いですが、だいたいはマイナスになります。なので、利回りを少しでも失わないためにできる限りベンチマークと同じ値動きをしている、乖離率の低いファンドの方が優秀だと言えるわけです。

トラッキングエラーは実際の運用成績とベンチマークを比べればわかる、ように思えますが分配金や為替の影響などを考えるとそう簡単にはいかずけっこうタイヘンです。騰落率やシャープレシオと同様に計算してくれている投資ブロガーさんは割にいますので、気になったときは調べてみてください。

iDeCo、つみたてNISAは「損しにくい」制度

ここまで、難しい話になってちょっと尻込みした人もいるでしょうか。

しかし、実はiDeCoもつみたてNISAも存しにくい制度です。何せ金融庁(と厚労省)が一般の人たちに「積み立て投資みんなやって!」と考えて作ったものだからです。

えー、それ本当?

何せ税金を安くしているんです。金融庁側にも何かイイコトがないとそんな制度作りませんよね

言われてみれば、税金が浮くってことは国の方は損するわけか

金融庁の思惑として、間違いなく日本に積み立て投資を根付かせたいはずです。老後資金を自分たちでなんとか作ってね、という意味も含まれているかもしれません。どちらにしろ、制度を使う人が損しにくいしくみにした方が金融庁の思う方向になるわけですね。

ですからiDeCoもつみたてNISAも、かなりの安心設計でラインナップが決められています。

販売手数料が無料で、5年以上継続していて、純資産額50億円以上、信託報酬が一定額以下、などいくつもの条件を満たすいわば厳選された積み立て投資向きのファンドしか買えないようになっているんです。(正確にはiDeCoは決められているのではなく、各社がつみたてNISAに倣ったようですが。)

投資にはリスクがつきものですが、そればかりでもありません。リスクヘッジの基本である時間と分散を武器に、リスクとしっかり向き合っていきましょう。

さいごに

今回解説した知識が入れば、具体的な商品を選ぶことは難しくありません。

後でおすすめファンドの紹介をしますが、ゼロからの老後資金づくりの始め方シリーズは、一旦ここで終わりになります。このシリーズで金融リテラシーが高まったことを感じ、自信を持って積み立て投資を始められる人が一人でも増えてくれたら本当に嬉しく思います。

今後はこのブログで個人的な成績なども記録したいと思っています。一人で続けるのは不安でも、一緒に続けられる人がいると励みになりますよね。ぜひ今後もお立ち寄りいただけますと私にとっても励みになり、とてもとても嬉しいです。

関連記事です。

ここまでの選定ポイントを踏まえ、具体的な商品のおすすめを以下二回に渡って紹介しています。

リスクをあまりとりたくない人は地域分散型編を、迷っている人や、リスクをとってリターンを増やしたい人は集中/アクティブ型編もぜひ読んでみてください。

これから証券会社の口座開設を考えている人には以下の記事がおすすめです。積立投資をするなら、おトク度といいラインナップといい、今楽天証券の右に出るところはないでしょう。

 

参考:
TOPIX/東証株価指数│初めてでもわかりやすい用語集│SMBC日興証券
学ぼう!「ダウ平均(ダウ工業株30種)」と「S&P500」の魅力 | 特集 | 楽天証券
MSCIとFTSEの違いを調べてみた、インデックス運用で知っておきたい株価指数 | 1億人の投資術

 

ゼロからの老後資金づくりの始め方シリーズ

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