アセット・アロケーションの決め方とは?資産の棚卸しと資産クラスを知ることから始めよう

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ゼロからの老後資金づくりの始め方
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皆さま、証券会社に開設の申し込みはもうしましたか?

前回は証券会社を選ぶポイントを、iDeCoとつみたてNISAを軸にお伝えしました。とにかく時間を味方につけるため、買う商品を決める(多分時間がかかる)前に証券口座の申し込みから取りかかりましょう。

そして今回はいよいよアセット・アロケーション(資産配分)を考えます。

資産のどれくらいは投資に当てられるか、そのうち株は何割、債券は何割、不動産は?純金は?そして何割現金で持っておきたいのか。こうした配分を考えましょうということですね。

投資の成績はアセットアロケーションが9割決める、とする有名な論文(現代ポートフォリオ理論)もあります。大変ですが大事な作業です。ぜひ真剣に取り組んでください。

資産の棚卸しをしよう

まずやるべきなのは、今の資産状況を把握すること。

通帳を集め、ローンや奨学金返済の残りを調べ、所有している不動産の価値をだいたいで良いので見積もりましょう。持ち家などの不動産を持っている人は、値動きの近いJ-REIT(ジェイ・リート。不動産投資信託の国内版)を買う必要はないでしょう。

そうか、住んでる物件も買っていれば資産だね

住宅ローンの残りが多いからといって、積み立て投資に回すお金を過剰に控える必要はありません。少なくとも住宅ローン減税の受けられる間は繰上げ返済もやめましょう。

今の日本は住宅ローンの金利より、投資の方がはるかに期待利回りが高いからです(住宅ローンはとても優遇されています)。もし今の金利より借り入れているローンの金利が高いと気づいたなら、借り換えを検討するのも良いでしょう。

ただし変動金利で借り入れている人は世の中の金利の動きに耳をすませておきましょう

2016年に日銀の黒田総裁がイールドカーブ・コントロールという政策を取り入れたことはご存知でしょうか?ざっくり言えば「物価が上がってもインフレ率2%が安定するまで金利は上げないよ」という政策です。詳しくはご自身で調べていただきたいのですが、ローンを持つ人はこうしたニュースにアンテナを立てておくことが望ましいです。

変動金利で借りたからには金利に敏感になりましょう。場合によっては、積み立て投資を控え繰り上げ返済をした方が良い世の中になることだってあり得ます。

でもそんな政策が取り入れられたなら、当分上がらなそうだよね

ニュースを知ってそうした予測ができると、固定金利に借り換えるべき時が来たとき気づけそうですよね

次に、ここ5年間を見て一年で平均いくら貯金が増えているか(あるいは減っているか)を計算しましょう。できれば年にいくら使っているかも見てみましょう。人にもよりますが二年は生活できる現金を残す方が良いと思います。

そして最後に、これからの5年間で大きな出費の予定やライフイベントがないか考えてみましょう。これから40歳を迎える人は介護保険料の支払いが毎月新たに発生することに注意してください。

前後5年間のお金の動きを把握するのね

そうです。これで大体、どのくらいが余剰資金なのかが見えてきますよ

もちろん5年というのは目安なので、例えば小さな子どものいる家庭ならもっと未来まで、教育費なども考慮すべきです。また年齢によっても積み立ての期間やリスクを考える必要があります。

すなわちどれだけ時間を味方にできるのかを考えましょう。定年が近いのに値動きの激しいリスク資産に全て投資するわけにはいきませんよね。

嬉しい副作用として、もっと節約できそうだなと感じた人もいるのでは?私はこの資産の棚卸しをきっかけに、ケータイのプランを変えました。過去5年間を見て貯金額に毎年大きな差があったら、何が違ってそうなったのか考えてみると良いですよ。

代表的な資産クラスのリスクと特徴を知ろう

全財産が把握できたら、大きな円を描いて現金と金融資産(資産クラス。株式とか債券とかのこと)を割り振ってみます。借金のある人は額に応じた大きさで二つ書くと良いと思います。

株とか債券とかって、何となくイメージはあるけどよくわからないなぁ

そうですよね、まずそこから解説しましょう

投資におけるもっとも大きなリスクの一つは、よくわからないものに理解の乏しいまま投資してしまうことです。どうしたらリスクが減って、どうしたら運用益が生まれるのか。元本保証のない商品に投資する以上は最低限の知識を持っておくべきでしょう。

iDeCoとつみたてNISAで選べる商品は、投資信託と元本保証型(定期預金か年金保険)になります。ですのでここでは投資信託を中心にそれぞれの資産クラスの特徴をつかんでいきましょう。

一般に、資産クラス別のリスク(値動きの激しさ)は以下のようになります:

株式 > REIT(不動産)> 債券 >>> 年金保険 > 定期預金 > 現金

株式、REIT、債券は分配金があり、元本は保証されない所謂リスク資産です。

定期預金は決められた期間預けることで金利が普通預金より多めにもらえますね。投資で考える保険系は同じようなイメージで、満期になると金利がついた分が返ってくるもの。満期前に契約を解除すると元本割れのリスクがあるのでどちらかというと定期預金の方が安全と言えます。

株式とは

株式(株)は、その企業のオーナー権をお金を出すことで分けてもらうしくみのこと。あるいは出資の際に受け取る資産そのもののことです。

株分けする、とか言いますよね。株式も、オーナー権の株分けなのです。配当(分配金)は会社の業績によって、株価は市場における会社の価値で上下します。

株の価格は会社の価値そのものなんだね

銘柄、つまり会社毎で買うと株主優待が受けられたり、口数によっては株主総会に参加なども可能です。しかし銘柄買いは一口の単位が大きいため一般人には買いにくいですよね。

何本もの銘柄をまとめて買える投資信託は少額で分散投資ができるため、積み立て投資に向いています。その一方で株主優待が受けられず、持っているだけで信託報酬が取られるというデメリットもあります。

株式は会社の価値によっては何倍にも株価が殖えたり、紙切れ同然にもなり得る値動きの激しさがあります。しかし分散投資であれば、一つの会社が大きく価値を落としたところでさほどダメージはありませんね。

iDeCoとつみたてNISAでは、株式の入った投資信託が非常に多いです。

インフレに強いのも株式の特徴ですが、デフレには弱いです。ここ30年ほどの日本市場を見るとこれはよくわかると思います。

REIT(リート)とは

REIT=不動産投資信託のこと。

不動産そのものを持つのは大変ですが、投資信託ならば複数の物件のオーナーに少ない資金で間接的になれますね。空室リスクも減らせますし、売りたくなったらいつでも売れる流動性の高さもあります。これがREITのメリットです。

投資信託で大家さんになれるんだ!

原則として不動産の開発は行わず賃貸事業に特化しているため、配当は主に家賃収入です。定期収入を得るのに向いている金融資産と言われています。

というのも、REITでは収益の9割超を分配金にする等の条件で法人税が免除されるため、高配当が期待できるしくみになっています。高い配当を出すことは運用会社にとっても利益になるわけですね。

不動産購入のための資金など、運用資金は金融機関からの借り入れでも賄う場合が多いです。そのため金利の影響が少なくないはずですが、実際には株式の値動きと重なる部分が大きいようです。

投資信託であっても地価に左右されたり何らかの被災で大きな損害が出る等、実物の不動産と同様のリスクはあります。そのため株式以上に値動きの激しいREITも少なくないことに注意が必要です。

REITの場合はインフレに強いと単純に言い切れない部分があります。これも金利の影響が少なくないため、そして地価は必ずしも物価と一致しないためです。

初心者向きとは言えない資産なので、買うならばメインではなくあくまで分散目的に使うことをおすすめします。

個人的には老後に向いている資産のように思います。分配金を得つつ暮らせれば老後資金をその分減らさずに済みますよね

債券とは

債券は、借金したい組織にお金を貸してその金利等で利益を得る資産(あるいは借用証書)です。定期的に支払われる金利が分配金に当たります。

満期が来たら元本を返すことになっていますので、値動きは穏やかな傾向です。ただし債務不履行のリスクはあります。

誰かの借金の額が、なんで上がったり下がったりするの?

満期まで債券を持ち続けるなら市場の値動きは関係ありません。しかし債券そのものが市場で転売(取引)されているために価格の上下が起こります。

原則として市場の金利より低い金利で貸した債券は魅力がないので安くなり、高い金利の債券なら高値で取引されます。満期が近づくと金利の旨みが減るため、取引額も元の金額に近づいていきます。

外国の債券(外債)は総じて日本より金利が高いです(というか日本が長いこと安すぎる)。しかし実際には為替相場の影響も大きく値動きがさほど落ち着きません。リスクヘッジとして使うなら為替ヘッジ(為替リスクの回避)をかけるのが王道ですが、その分経費がかかります。

代表的な債券といえば国債ですが、いくら国が発行していても信用が落ちるときは落ちます。2012年にはスペイン国債が金利7%を超えたことが話題になりました。金利をそれだけ上げなければ買い手がつかなかったということです。米国株200年分の平均利回りが約6.8%ですので、異様な数字であることがわかります。

えっ、日本は大丈夫なの?

日本国債は、限りなく現金に近い資産なんです

日本国債の場合、円の信用がなくなる事態になれば同じことが起こり得るでしょう。しかし、円が危ういなら貯金も危ういことは覚えておきましょう。

現在、日本の金利は上がるどころか緩やかに下がり続けています。世界でもこれだけ低金利が続いているのは日本くらいのもの。世界的に金融不安が広がるとほとんどの国で通貨安が起こるところ、円に限って高くなるのはそれだけ安全資産だと思われているからです。

債券はデフレに強いですがインフレには弱いため、株式と組み合わせて使われることが非常に多いです。

豆知識

債券が投資対象としてインフレに弱いなら、借金をしている側から見たらインフレ大歓迎ということです。つまりローンはインフレに強い資産。実質的に借金が安くなるからですね。これは高度成長期に持ち家信仰が根付いた要因の一つです。

代表的な資産クラスの性質を知ろう

資産の地域別リスクを知ろう

地域別では、値動きの激しさは以下のようになります。

新興国 > 先進国 > 国内

新興国は、債券であっても非常に値動きが激しく金利も高い傾向です。そもそも国内情勢が安定していないことが多いので、為替リスクそのものが大きくまた市場のしくみ自体も脆弱です。

こうした事情があるが故に、新興国の金融資産は取引コストが高めです。しかしこれから成長が期待されるということで、少なめの割合ならば買うのもありかと思います。

為替リスクが少ないため値動きが緩やかな日本への資産投資を多めにする人もいます。しかしホームカントリーバイアス(自国への投資が厚くなる傾向のこと)という言葉もあるくらいです。一国に偏ることのリスクもよくよく勘案する必要があるでしょう。

このように同じ資産クラスでも地域や通貨によってリスクが異なるので、アセットアロケーションは「株式」「債券」ではなく「新興国株式」「国内株式」「先進国債券」などと地域別で考えるのが一般的です。

資産クラスの性質を知ろう

長期積立には株式と債券が王道です。

REITは長中期に向いていると言われますが、三つの資産を考えるのはハードルが高いですね。初心者は、リスクを取る部分を株式中心で考えた方が良いと思います。

もちろん、興味が湧いたならREITも候補に入れてください。よくわからない資産に投資するのは勧められませんが、そうでなければ分散効果が高まりますからね。

ただし純金などのコモディティに手を広げるのは長期投資では全くおすすめできません。

株式がなぜ長期的に資産を増やすのに向いているかというと、ゼロサムゲームならぬプラスサムゲームになっているからです。

企業が新しい価値を創造し、そのお手伝いとしてお金を出資している株式は、みんなに利益をもたらすことが可能です。金やプラチナのような、モノに相場がつくられて損する人と得する人が必ず出る投資(というより「投機」)とは根本的に違うわけです。

値動きが激しくてもプラスサムだから、積み立て投資が効いてくるのね

一般的に株式と債券の値動きは逆になりやすいと言われ、株式のリスクヘッジに債券がよく使われます。株が危ない!と思ったら資産を債券に移す人が多いと考えるとわかりやすいと思います。債券は借金であり、返済義務がありますからね。

ネット上でも、初心者には債券を株式の3〜5割買うことを薦める意見が多かったです。

私はリスクに納得できるなら、100%株式(と、日本円)で良いと思っています。つみたてNISAとiDeCoなら運用益に課税されないので尚のことですね

たしかに、20年も積み立てられれば元本割れしなさそうだよね

初心者向けアセットアロケーションの決め方

アセットアロケーションは、どれだけリスクをとるか。そしていかにしてリターンを上げつつリスクを抑える組み合わせを考えるか。この二つが焦点になります。

ここでもやっぱりリスクが焦点になるのね

初心者の場合、まずは株式と債券の比率を決めましょう

債券を入れたい場合はバランスファンドをおすすめします。具体的な商品は後日紹介します。

株式のみの場合は大きく分けて以下三点を考えると良いと思います。

  • 国内株は必要か
  • 米国株は先進国株で十分か
  • 新興国株は必要か

国内株、先進国株、新興国株が全て含まれた、世界中にバランス良く投資できるファンドも人気があります。分散投資はリスクヘッジの基本だからです。自分で割合を決められない、あるいは決めたくないという人は、こうした全世界投資型のファンドがおすすめです。

その一方で先進国は米国株のみのファンドというのも人気があります。米国は過去のデータではいちばん利回りの良い国だからです。

「先進国」と名前に入ったファンドは、日本と新興国が除かれたもの。これは米国が半分くらい入っていると思ってください。リスクの高い新興国以外にバランスよく分散できるとあって、この形が一番安心だとする向きも根強いですね。

よくわからないなら世界中に分散投資がいいのかな。でも成績が良いなら米国一本も魅力的。だけど一国集中はこわいから先進国まで広げた方がいいのかな

難しい選択ですよね。国内株はどうしましょう?

為替リスクについては、株式は利回りをさらに高める可能性があるんだからとヘッジなし、債券はそもそもリスクを抑えたいから入れるのでヘッジ有りが良いというのが一般的です。

しかし実際には債券でも為替ヘッジをかけない人が多いように思います。為替ヘッジをつけると経費もそれだけとられるからでしょうか。

私も為替ヘッジは不要派です。それは私の日本の先行き予想に理由があります。

長くなったので続きは次回に。
アセットアロケーションの決め方ももう少し掘り下げます。

関連記事です。

ここまでの話でもう十分わかった、という人は具体的な商品を以下で紹介していますのでどうぞ参考にしてください。

 

参考・参照:
イールドカーブ・コントロール|証券用語解説集|野村證券
REIT(リート)とは?仕組みや種類、メリット、購入方法まで徹底解説 | マネーの手帳
マーケット・インテリジェンス – ピムコの知見を投資の力に | PIMCO

 

ゼロからの老後資金づくりの始め方シリーズ

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