消費税20%になったら日本はどうなるのか?【IMFの提言】

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やはり出ましたね。更なる増税への布石が。

以下は2030年までに消費税率を15%、2050年までに20%に引き上げるべきとIMF(国際通貨基金)が提言したというニュースです。

消費税2030年15%に IMF専務理事、賃上げの弱さ懸念  :日本経済新聞

しかし本当にそれだけ消費税が上がって日本が持つものでしょうか?20%と言ったら「今の倍」です。特に個人投資家なら、何かおかしいと感じている人、いますよね。

今回は今後の日本を占うこのニュースを読み解くため、消費税とIMFという組織について掘り下げていきましょう。

消費税の特性とは

よく消費税は逆進性が強い税だと言われます。さて、では逆進性とはどういうことでしょうか。

これは簡単に言うとお金がないところからより多くの割合を取ることになるということです。

お金持ちでも貧乏でも、生きるために最低限必要なお金は一定額かかり続けます。貧乏なら、収入の大部分あるいは全てをこの「生きるための消費」に使わなくてはなりませんね。

しかしお金のたくさんある人たちは違います。お金持ちなら「生きるための消費」は割合としてはごく僅か。お金があるからと言って必ずしも使う必要はないわけです。

例えば収入が月10万の人の、生活費が10万円なら収入の10%がそのまま消費税になってしまいますよね。月20万の人ならこれが5%で済みます。

もっと言えば、本当のお金持ちはホテルで暮らしていたりします。宿泊費は経費になる上、生活に必要なモノを買い揃えて消費税を払う必要もありません。

つまり収入のうち、貧乏な人ほど多くの割合を消費税に当てざるを得ないことになるわけです。これが逆進性が強いということです。

累進性は反対語に当たります。所得に応じて税率を上げている所得税は累進課税と言いますよね。

所得税や社会保険料で二重の累進性があるからお金持ちは十分負担しているんだ、とする意見もあります。しかし何をもって「十分」とするのかは良く考えなければなりません。

というのも、消費税の逆進性にいちばん苦しめられているのは実は消費者ではないのです。

中小企業の消費税事情

実は消費税はいちばん滞納の多い税金だって、知っていますか?

滞納をしているのはほとんどが中小企業です。なぜそんなことが起こるかというと、大企業の支払うべき消費税を肩代わりする形になっているからです。

どういうこと?消費税はどの企業でも納めているんじゃないの?

永積キクコ
永積キクコ

もちろんそうです。全てを肩代わりしているという話ではありません

それはこういうことです。

例えば、ある製品Aを大手メーカーが出しています。この製品は下請け会社に部品BとCを発注して作っており、メーカー側では部品を組み合わせて出荷しているのみだったとします。

さてここでは消費税はどんな形でかかるでしょうか。

部品BとCの材料を仕入れるのは下請け会社ですから、この消費税は下請け会社が支払うことになりますね。次にできた部品を下請け会社から大手メーカーが仕入れるときにも消費税が発生します。

本来は。

ではここで、大手メーカーの立場で考えてみてください。消費税が導入されるまで、部品Bは500円、Cは100円だったとします。ここで、消費税が導入されたからといってBを515円、Cは103円にと部品を値上げして大手メーカーがそのまま買うでしょうか?

消費税が導入されたからといってそれを仕入れで払っていたら収益を圧迫します。しかも販売するときに消費税をそのまま上乗せしたら、製品Aの売れ行きが落ちる可能性までありますね。できればその分値下げもしたいところです。

下請け会社は大手メーカーの発注あってこそ成り立っている構造がありますから、大手メーカーの方が立場が強いですよね。ですから、メーカー側は当然このような交渉をします。

消費税分、値下げしてもらえないかなぁ?

販売価格を消費税分値下げしたいから、もうちょっと安くならない?

もうわかりましたね。

中小企業はメーカーの収益のため、消費税が上がると値引き要求をされることが大変多いのです。しかもメーカーの分だけでなく、本来なら消費者が払うはずの消費税分までを転嫁させられることもあります。

元々の仕入れで支払う消費税。大手メーカーの支払うべき消費税。そして消費者の支払うべき消費税。

つまり下請け会社は、二重三重の消費税に苦しむことになるわけです。孫請け企業はさらに重税ですね。消費税の逆進性にいちばん苦しめられているのは、間違いなくこうした中小企業でしょう。

また消費税は法人税と異なりどんなに赤字でも納めなくてはなりません。これが滞納の多さにつながっていると見られます。

大企業が増税後も今まで通りの価格で販売していたら、企業努力をしているように感じるかもしれません。しかしその裏側にはそのしわ寄せに苦しむ小さな企業があることを、どうか忘れないでください。(全ての「お値段据え置き」がこのパターンと言っているわけではありません。)

もし消費税が20%になったらどうなるの?

さてこの構造を維持したまま、消費税が20%になったらどうなると思いますか?

下請け会社がしていることは、商品の生産ですね。言ってみればモノやサービスの「供給」です。私たちがお店に行くと商品がズラリと並んでいるのを目をすることができるのは、日本に十分な供給能力あってこそです。

しかし消費税が20%になれば、ほとんどの下請け会社はやっていけなくなるはずです。

これは、日本の供給能力が破壊されていくことに他なりません。これは大変恐ろしいことです。

需要が供給とある程度釣り合っていればモノの値段は安定します。現状は需要より少し供給が多い状態なので、売る方は値段をどうにか下げたり、あれやこれやと工夫して痒いところに手の届くモノ・サービスを一生懸命提供していますね。

これが、供給能力が落ちていった場合に逆転が起こります。モノが不足し値段が上がり、経済成長の伴わないインフレになってしまうのです。

中には「それなら輸入すればいい」と思う人もいるかもしれません。しかしそうなると国内の生産能力は落ちていくばかりです。技術も途絶えてしまいます。何より失業率の上昇が懸念されるところですね。

IMFが日本経済「全体」のことを考えて提言をしているとは到底思えません。

IMF(国際通貨基金)とは?

さて、ではIMFとは一体どんな組織なのでしょうか。ウィキペディアにはこうあります。

国際金融、並びに、為替相場の安定化を目的として設立された国際連合の専門機関である。
(中略)
また、為替相場の安定のために、経常収支が悪化した国への融資や、為替相場と各国の為替政策の監視などを行っている。

国際通貨基金- Wikipedia

IMFの重要な役割として、経済的に危なくなった国への融資が挙げられます。本来IMFの提言を受け入れる必要があるのは、IMFの融資を受ける国だけです。

考えてもみてください。融資の必要もないのに独立した国が為替政策に口を挟まれる必要が、どこにあるでしょうか。国際的なルール違反などをしているならわかりますが、消費税をどうするかなんて政策にまで口出しされる筋合いなど元々ないのです。

また、第一生命経済研究所・永濱利廣首席エコノミストがテレビ朝日でこんなことを言っていました。

「IMFというのは、日本の財務省からも職員が出向しています。政策提言的な部分は各国の財務省の意向が色濃く反映されているのが特徴。ある意味、直接、自国の国民に言いにくい耳の痛い話をIMFという外的機関を使って発言することはよくあることです」

IMF「消費税を15%に」提言 ネットに“違和感”も

そしてIMFのナンバー2である副専務理事は、元財務省の日本人が選出されていることもウィキペディアに書かれています。

財務省は日本に数ある省庁の中でも「税収を増やす」ことを主目的とした一省庁です。その意向を、IMFという国際組織を使って日本に広める。今回の提言もそんな目的であると見て良いのではないでしょうか。

バランスを欠いた日本の税制

もちろん、財務省の方は一生懸命お仕事をしているだけです。財務省の内部では消費税を増税することが正しいとされているとしても何の不思議もありません。

しかし税収を増やしたい財務省の力ばかりが強くなり、バランスを欠いていることが大きな問題なのです。

なぜ企業団体は消費増税に反対しないの?モノが売れなくなるとわかってるのに

永積キクコ
永積キクコ

そう思いますよね。特に経団連のような大きな力を持つ組織が大反対をしそうなものです。

実はあまり知られていませんが、消費税が増税されるたびに法人税が減税されているのです。*1 加えて、ここまで見てきたように消費増税はお金持ちほど痛くなく、仕入れで支払う消費税まで下請けに肩代わりさせることができます。反対する理由は実はそれほどないのですね。

デフレのときに法人税を減税するのは、決して間違った政策とまでは思いません。企業が苦しんでいたら設備投資も賃金の上昇も望めません。また倒産したりもっと法人税の低い国に拠点を移されてしまったら税収が落ち、雇用も確保できなくなってしまいますから。

しかしだからといってその穴埋めを消費税にさせて良いわけではないことは、ここまで見てきたように明らかです。

この増税の流れは今後どうなるのでしょうか。3%から5%、5%から8%、10%へと、確実に増税を実現してきた財務省の力は決して侮れません。

少なくとも長期のインデックス投資に日本株を選ぶのはやめた方が賢明でしょう。

関連記事です。

先日は自民党の幹事長が、財政出動の必要性について見解を示しました。こちらも見逃せないニュースです。以下の記事で解説しています。

日本の将来が気になったら、老後資金についても気になるところですね。円で貯めるより世界への積立投資がおすすめです。

日本の先行き予想はこちらの記事で書いています。円という通貨がこれからどうなるのか、考えてみる良い機会ですね。

 

*1:法人税が下がるとなぜ消費税が上がるの?「法人税を納めている日本の企業は、3割未満」|「マイナビウーマン」

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